綜説 塗抹細胞診の再検討
上皮内癌における細胞学的特異性の有無
栗原 操寿
1
Soju Kurihara
1
1慶応大学病院産婦人科癌クリニック
pp.97-99
発行日 1965年2月10日
Published Date 1965/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203209
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はじめに
細胞診をPapancoiloauとTrautは,最初正常と異常とを見分ける手段として,控え目に出発させたが,この方法は,現在では少くとも積極的に癌を診断する手段に前進し,良性か悪性かを決める診断法として,臨床的評価は既に確固たるものとなつている。子宮頸癌においては,進行癌よりは早期癌の発見に効果的に役立ち,さらには病理組織学的認識にとまどつている初期悪性増殖の検出に偉大な手がかりを与えつつある。
かつて,10年前Mc Donaldは,細胞診の将来は必らずや子宮頸部の上皮内癌(Ca in situ)の発見に輝かしい方法となるであろうと予言したが,正にその通りの展開を見た。今回の表題は細胞診の上皮内癌に対する終局的効果を求められたもので,浅学の私にはいささか重荷ではあるけれども,その展開の歩みを常々興味深く文献と患者に求めている一人として,日頃考えていることを述べてみることにする。
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