ヒューマンバイオロジー--臨床への展開 無排卵症
排卵障害の鑑別診断と治療方針
青野 敏博
1
,
清水 郁也
1
,
池上 博雅
1
,
大塚 志郎
1
,
門脇 浩三
1
,
陳 祝芳
1
Toshihiro Aono
1
1大阪大学医学部産婦人科教室
pp.711-715
発行日 1985年9月10日
Published Date 1985/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207241
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排卵現象は視床下部—脳下垂体前葉卵巣で作られた機能環の円滑な活動の結果としてみられるものである。すなわち視床下部から分泌されたLH-RHが下垂体門脈を通って下垂体からのゴナトトロピン分泌を促し,ゴナドトロピンのFSHとLHは周期性に分泌され,卵胞の発育,排卵,黄体の形成を司っている。しかも卵巣から分泌された性ステロイドホルモンは視床下部や下垂体の機能をフィードバック作用により調節している。
視床下部,下垂体,卵巣および他分泌腺などに異常が起こると容易に排卵が障害され,月経異常や不妊が招来される。したがって,排卵障害の治療に当たってはまず原因疾患を鑑別診断することが大切で,その目的に各種の試みがなされている。本稿ではわれわれが日常行っている無排卵症の系統的な鑑別診断法1)を中心に,各種原因別の治療方針についても解説したい。
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