増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
婦人科編
II 内分泌・不妊
排卵障害
藤本 晃久
1
1三楽病院産婦人科
pp.69-73
発行日 2014年4月20日
Published Date 2014/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103673
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疾患の概要
正常な排卵周期を有する女性では,視床下部から律動的に分泌されるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)が下垂体前葉に作用し,下垂体からゴナドトロピン〔卵胞刺激ホルモン(FSH)および黄体化ホルモン(LH)〕が放出される.FSH,LHは卵巣に存在するおのおのの受容体に結合し,卵胞発育─排卵─黄体形成─退縮─月経発来に至るまでの,月経周期の制御に関与している.また,卵巣中の卵胞細胞,黄体から分泌されるエストラジオールおよびプロゲステロンは,子宮内膜の増殖期変化・分泌期変化に関与するとともに,視床下部・下垂体の受容体に作用し,中枢性ホルモンの分泌を制御している.
排卵障害は,このような視床下部─下垂体─卵巣系のいずれかが原因となって起こる,卵巣からの卵子の放出が起きない状態である.原因は大きく視床下部性,下垂体性,卵巣性に分類されるが,別項で述べられるプロラクチンも排卵周期調節に密に関与している.排卵障害はしばしば原発性・続発性無月経の症状をきたし,また機能性不正出血の多くも排卵障害が原因となりうる.
本項では,こうした多岐にわたる排卵障害のうち,特に挙児希望を有する症例で,かつ別項で述べられる高プロラクチン血症,多囊胞性卵巣症候群を除いた症例に対する治療方針に限定して解説する.
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