ヒューマンバイオロジー--臨床への展開 無排卵症
無排卵症の検査
岡村 均
1
,
林 国城
1
,
森 崇英
1
Hitoshi Okamura
1
1京都大学医学部婦人科学産科学教室
pp.703-709
発行日 1985年9月10日
Published Date 1985/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207240
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個体への刺激に対応して調整機能を発揮する中枢—視床下部,視床下部の指令によりgonadotropin (Gn)を分泌する下垂体,このGnにより卵胞成熟と排卵を起こすとともにestrogen (E),progesterone (P)を産生して前述の上位中枢にfeedback機能を発現する卵巣,の三者の精緻巧妙な調節連繋によって排卵現象が営まれていることは周知の事実であり,さらに近年の基礎的研究およびIVFの臨床応用に伴う臨床研究の進歩は,各器官固有の機能のより詳細な解析とその調節機構を明らかにしてきつつある。したがって,無排卵症の概念自体も卵胞レベルでの排卵障害にまで目をむける必要が生じてきているし1),中枢レベルでの排卵障害の原因を求める検査方法も詳細にならざるを得ない状況である。また,各種ホルモンのRIA測定法の発達により,無排卵症の原因を,視床下部—下垂体—卵巣系に求めるだけでなく,下垂体—甲状腺系や下垂体—副腎系に,さらにはPRLの分泌異常(潜在性も含む)に求めることも容易になつてきた2)。したがって,臨床とくに不妊症治療においてその原因の約1/3を占める排卵障害を取り扱うにあたっては,このような現状を十分把握して障害の部位を的確に捉えることが大切である。
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