講座 実地医家のためのホルモン講座
hCG
足高 善彦
1
Yoshihiko Ashitaka
1
1神戸大学医学部産科婦人科学教室
pp.338-344
発行日 1985年5月10日
Published Date 1985/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207176
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hCGは絨毛細胞より産生・分泌される糖蛋白ホルモンで,下垂体由来のFSH,LH,TSHと同様にα,β—subunitのnon-covalent結合より成る。α—subunitはこれらのホルモンで生化学的,免疫学的性格がほぼ共通し,相互に交換も可能である。β—subunitはそのホルモンに特異的な生物学的性質を内蔵している。subunit自体に生物活性は認められないが,α—subunitとβ—subunitの結合より,β—subunit由来の生物活性が発現する1)。LHとhCGはそれぞれのα—subunitの生化学的共通性と,β—subunitの生化学的類似性の故に共通抗原性が極めて強い。hCG—βのN末端側のアミノ酸配列はLH—βのそれと極めて類似しているが,hCG—βC末端側にはLH—βに存在しない30個のアミノ酸残基が付いている。この部分(C-terminal peptide,CTP)は他のホルモンのβ—subunitにも認められない特異的なものである2)。
このような生化学的性格を踏まえつつ,ここでは主としてhCGの免疫学的な測定法を紹介し,hCG分泌に関する生理的・病理的動態の解析法について考えてみたい。
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