特集 ホルモンと生理活性物質
各論
8.性腺ホルモン系
5) hCG, hCGサブユニット
玉舎 輝彦
1
Teruhiko TAMAYA
1
1岐阜大学医学部産科婦人科学教室
pp.178-179
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902215
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生合成・分泌・機能
hCG(human chorionic gonadotropin;ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は妊娠中,栄養胚板(トロホブラスト)→絨毛膜有毛部→胎盤(妊娠第4か月で完成する)の胎盤形成過程において,絨毛のシンチチウム細胞で合成される.受精卵の2分割卵からhCGが局所で分泌されることが知られ,母体では妊娠8~10週が最高値を示す(尿中hCG値は50,000~500,000IU/l,血中β―hCG値で50,000~100,000mIU/ml).その後急減し,妊娠期間中変動せず,尿中hCG値は10,000~50,000IU/l (血中β-hCG値で4,000~30,000mIU/l)となる.
この変化は以下に説明される.完全な型のhCGは絨毛のシンチチウム細胞で合成される.その下層にあるLanghans細胞はシンチチウム細胞へ分化するが,その過程である妊娠8~10週ごろはhCGの合成が盛んである.妊娠10週以後Langhans細胞の減少とともに,そのパラクリン的影響を受けていたシンチチウム細胞のhCG産生は低下する.
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