先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
腫瘍マーカー
hCG
保科 眞
1
Makoto Hoshina
1
1神戸大学医学部産科婦人科学教室
pp.511-515
発行日 1986年7月10日
Published Date 1986/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207418
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ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)は絨毛で産生,分泌される糖蛋白であり,絨毛性疾患の極めて有用で信頼度の高い腫瘍マーカーであるばかりか,正常,異常妊娠の診断や流産さらには内分泌異常の治療にも用いられていることは周知の通りである。
hCGはこのような点において,他の腫瘍マーカーとは異なった糖蛋白であり,また,その遺伝子の染色体上の存在部位1)遺伝子(DNA)の構造2,3),生合成部位4,5)や生合成の調節6,7),アミノ酸構造8),生物活性9),さらにはhCG糖鎖構造とその癌性変異10,11)に至るまで詳細に明らかにされており,これらの知見を基盤にしてhCGの腫瘍マーカーとしての可能性はさらに広がりつつある。本稿では腫瘍マーカーを「腫瘍の診断,管理,予後判定に有用な物質」として考える広義な立場からhCGの諸性格について概説したいと思う。したがって,一般には腫瘍マーカーは免疫学的に測定ないしは検出されるのであるが,分子雑種形成法ならびに糖鎖分析法などの方法論についても触れてみたい。
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