免疫化学検査法 Ⅱ 測定法の実際
8・ホルモン
F 性腺ホルモン
②hCG,hCG-β
伊藤 節子
1
1慶応義塾大学病院中央臨床検査部
pp.849-852
発行日 1988年6月15日
Published Date 1988/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204621
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はじめに
ヒト絨毛性ゴナドトロピン(human chorionic gonadotropin;hCG)の測定は,妊娠の診断とその経過観察,絨毛性疾患の予後管理,治療効果の判定などにきわめて重要な役割を果たしている.hCGは分子量約38,000の糖蛋白で,α-とβ-サブユニット(hCG-α,hCG-β)から構成されている.hCGはhLHのアミノ酸配列と相似しているが,唯一の相違点はhCG-βのC末端側のアミノ酸23個がhCGにのみ存在することである.このようにhCGとhLHは免疫学的活性が類似していることから,高感度にhCGの測定をするために,hLHと交差の少ないhCG-βに特異的なcarboxyl terminal peptide(CTP)に対する抗体を使った測定系が開発されている.一方,特異性の高い測定法として,hCG-α,hCG-βそれぞれに対応する単クローン性抗体を用いた測定系が開発されており,hCG-βと交差することなくhCGの測定が可能となっている.
hCG-βの測定は,睾丸腫瘍の一つである精上皮腫の診断と経過観察に重要であり,一部の悪性腫瘍の予後管理や治療効果の判定にも用いられている.
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