グラフ 胎児の機能診断
臍帯血流と胎児仮死
村上 雅義
1
,
千葉 喜英
1
Masayoshi Murakami
1
,
Yoshihide Chiba
1
1国立循環器病センター周産期治療科
pp.64-65
発行日 1985年2月10日
Published Date 1985/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207117
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近年,パルス・ドプラ法を用い非侵襲的な血流計測が可能となり,胎児機能検査のひとつとして,胎児循環動態の評価に用いられつつある.特に胎児仮死の診断において胎児血流変動を知ることは従来から広く用いられている心拍数変動単独よりもより成因に迫る情報を与えてくれる。本稿においては,胎児血流のうちでも中心的な位置を占める臍帯血流(特に臍(帯)静脈血流)に関して胎児仮死の面から述べることにする。
図1,図2にパルス・ドプラ法により得られた臍帯動脈,臍帯静脈の血流速度スペクトラムを示す。0で示す基準線よりも遠く離れるほど,速い血流成分を表わす。臍帯動脈は収縮期に立ち上がりをもつ速度分布波形を示すのに対し,臍帯静脈は通常定常流である。超音波断層像で血管径を計測すれば,単位時間ごとの血流量も求められる。妊娠後期の臍(帯)静脈の最高血流速度,血流最は25cm/sec前後,200ml/min前後の値をとる。
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