今月の臨床 胎児へのlife line臍帯
臍帯の基礎
4.臍帯血流の計測
小林 秀樹
1
1福岡大学医学部産婦人科・総合周産期母子医療センター
pp.896-898
発行日 1999年7月10日
Published Date 1999/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903705
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臍帯血流の計測
胎児胎盤循環不全(UPI)の診断方法は,E3やHPLの測定からより即時的でダイナミックな超音波ドプラ法による血流計測,波形解析に取って代わられ1),「臍帯動脈RI値異常」や「臍帯動脈血流の途絶や逆流現象」といったことで,患者の紹介を受けることも頻繁になってきた.
経験的に重症の子宮内発育遅延(IUGR)や羊水過少の発症やCTG上の胎児心拍パターンの異常の出現前に胎児臍帯動脈血流波形の異常を認めることも多い2).胎児の発育速度が低下するときや胎児尿産生量が低下するときは,臍帯血流量や臍帯動脈血流波形に変化が起きていることは動物モデルやヒト胎児の統計解析でも明らかにされているが,臨床の現場で産科的方針の決定に際しては,CTGに対する補助診断の域を出ていない.とくに各症例を経時的に観察し,病態の進行や治療効果判定に触媒変数として用いるときは,測定誤差や測定時の胎児心拍数や子宮収縮による自然変動を念頭に置くべきである.
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