明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 胎盤
胎盤形成の免疫学的機序—妊娠の免疫的維持機構に関連して
竹内 正七
1
,
本間 滋
1
Shoshichi Takeuchi
1
,
Shigeru Honma
1
1新潟大学医学部産科婦人科学教室
pp.813-823
発行日 1984年11月10日
Published Date 1984/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207076
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胎児・胎盤系は遺伝的に半分を父親方から受け継いでいるため,母体にとっては同種移植片(allograft)であり,したがって妊娠は一定期間(妊娠期間)の同種移植(allogeneic transplantation)の成立とみなすことが可能である。
一般に臓器移植において,拒絶反応が起こるか否かは,移植片が受容者(recipient)に対して非自己である移植抗原(組織適合抗原)を有するか否かによって決まる。そして拒絶反応は,次の3つの相の連続的な進行によっておこるといわれている。①認識相(recognitionphase):マクロファージやリンパ球による抗原の認識が行われる。②感作相(sensitization phase):抗原を認識したT,B細胞は増殖を開始し,T細胞はヘルパー,キラー,アンプリファイアー,サプレッサー,遅延過敏T細胞など5種類のエフェクター細胞に分化する。またB細胞は,プラズマ細胞に分化し,5種類の抗体(IgG,IgM, IgA, IgD, IgE)を分泌する。③エフェクター相(effector phase):移植片に対する反応をおこす相であるが,以下のようにいろいろな様式がある。
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