グラフ 胎児奇形の映像診断
妊娠早期に診断し得た心臓脱の1例
加賀山 哲夫
1
,
岩間 洋一
1
,
鴨志田 和久
1
,
金子 義晴
1
Tetsuo Kagayama
1
1日立製作所日立総合病院産婦人科
pp.470-472
発行日 1984年6月10日
Published Date 1984/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207008
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心臓脱とは,本来心臓のあるべき縦隔洞より心臓が逸脱して,体外あるいは胸腔外に存在する場合をいい,稀な先天性心臓奇形である。
症例は,25歳,3回経妊3回経産の妊婦。20歳で3,380gの男児,22歳で3,590gの女児,23歳で3,780gの女児(いずれも妊娠40週)を分娩したが,異常を認めていない。月経歴は,初経13歳,30日周期,整,6日間持続,月経量は中等量で経時障害はない。昭和56年12月25日より6日間を最終月経として妊娠。昭和57年2月23日(妊娠8週3日)に当科初診。4月20日(妊娠16週4日)に胎児スクリーニング検査として,超音波電子スキャンを施行した際,児頭は不明であり,児体部頭側に直径19mmの嚢胞状echoを認めた。この時には心臓は?幹内で拍動していた(図1)。児頭の奇形を疑い,妊娠20週に再度検査施行。児頭輪郭の不鮮明,Midline echoの欠如の所見を得,無脳児と診断した(図2)。また,胎児の胸郭内に心臓を認めることが出来ず,胎児?幹外に拍動する心臓を検出し(図3,4,5),胸郭へ連続する大動脈の像も得られたため(図6)心臓脱と診断した。
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