症例
褐色細胞腫合併妊娠の1例
今西 由紀夫
1
,
関 博之
1
,
金子 義晴
1
Yukio Imanishi
1
1日立総合病院産婦人科
pp.365-371
発行日 1983年5月10日
Published Date 1983/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206811
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褐色細胞腫(pheochromocytoma)は,副腎髄質細胞などのクロム親和性細胞から発生する腫瘍であり,カテコールアミンを産生・分泌するために,高血圧をはじめとするさまざまな臨床症状を呈するが,外科的に腫瘍を切除すれば一般に根治可能である。高血圧人口の0.5%は本疾患であると言われており,わが国でも1942年の第1例以来多数例が報告され,単なる症例報告としての価値はすでに失われていると言ってもよい現状である。
しかしながら,本疾患を合併した妊娠の報告は,わが国では,我々の調べ得た限り,これまでに18例を数えるだけで,きわめて珍しいものである1〜17)。しかもその半数以上が妊娠中に発症し,診断が下されるのは分娩後であることが多いという事実は,この合併症妊娠における母児の予後を考える上で,重大な問題となっている。
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