指標
卵巣組織におけるコレステロール代謝—I.ステロイド合成に対するリポプロテインの役割について
田中 俊誠
1
,
桜木 則宏
1
,
藤本 征一郎
1
,
一戸 喜兵衛
1
Toshinobu Tanaka
1
1北海道大学医学部産婦人科学教室
pp.473-484
発行日 1984年6月10日
Published Date 1984/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207009
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近年,ステロイド産生臓器におけるcholestcrol代謝調節機構の理解が大いに深まった。外因性のcholesterol,即ちlipoprotein-carried cholestcrol (lipo-chol)の基質としての重要性が認識されたことに因るところが大きい1)。卵巣内分泌研究者もreceptorを介してのlipopro—teinsの摂取と代謝,lipo-cholによるde novoのchole—sterol合成とsterol ester貯蔵の調節に注目した。卵巣におけるcholesterolからのsteroid hormonesへの合成経路はほぼ明らかにされているが2),卵巣細胞によるcholcsterolの摂取と代謝を調節する要因については未だ明確にされていない。卵巣におけるsteroid代謝に関する従来の論文の多くは単に14C-acetateのsterolsやsteroidsへの取り込みを扱っているだけで,lipo-cholの基質としての,またcholesterol代謝調節因子としての重要性を考慮していない。したがって,再評価されなければならない論文も多くあると思われる。本論文ではlipo-cholの重要性を考慮に入れて主に卵巣の組織,細胞におけるlipoproteinsの摂取,de novoのsterol合成ならびにsterolsの代謝に関与する各種の酵素,および細胞内でのcholesterolの移動について論じたい。
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