症例
早期の娩出により救命し得た妊娠29週母児リステリア症の1例
山下 美智子
1
,
佐藤 紀子
1
,
高橋 良子
1
,
藤谷 真弓
1
,
辻江 智子
1
,
塩路 光徳
1
,
蒲池 圭一
1
,
徳平 厚
1
,
中山 雅弘
2
1市立豊中病院産婦人科
2大阪府立母子保健総合医療センター検査科病理
pp.583-586
発行日 2012年6月10日
Published Date 2012/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103083
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要旨
リステリア症は稀な疾患であるが,妊婦は健常人と比べて著しく罹患率が高い.胎児に垂直感染すると流早産,死産,新生児死亡を引き起こし,救命し得た場合でも神経学的後遺症を残すことが少なくない.症例は33歳初産婦で,妊娠27週5日,39℃の発熱と咳嗽が出現した.妊娠29週0日,突然子宮収縮が頻回となり,血液培養よりグラム陽性桿菌を認めた.リステリア症が考えられたため妊娠29週1日に緊急帝王切開術を施行した.母体の血液培養と羊水,胎盤組織よりListeria monocytogenesが検出された.児の血液培養からも同菌が検出されアンピシリンとゲンタマイシンなどで加療した.修正月齢約6か月現在,児に神経学的後遺症は認めていない.母児リステリア症は重篤な疾患であり迅速な診断が求められるため,発熱のある妊婦の診察においては常に念頭に置いておく必要がある.
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