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はじめに
悪性高熱症は全身麻酔で発症する恐るべき合併症として知られている。わが国でも年間20例以上は発症している1)といわれているが,以前には麻酔科医師の間に一般的な知識として知られておらず,治療の開始が遅れることなどの理由により致命率の高い疾患であった。最近はこの疾患に関する知識の普及により早期に発見されるようになり,早期治療とともに予防方法および治療薬としてのダントロレンナトリウムが開発され,予後が改善されるようになった。
しかし遭遇する頻度が少ないため,未だ医師の間の知識が乏しく,そのため治療の開始の遅れや発症後の患者の管理において問題が起こる場合がある。耳鼻咽喉科で行われる手術においても,全身麻酔の合併症として発症する可能性があることを思えば,この疾患について正しく認識している必要がある。
われわれは早期に発見し,しかも早期に治療を開始したため良好な経過をたどった悪性高熱症の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。
A 4-year-old boy with recurrent tonsillitis underwent tonsillectomy under general anesthesia. The operation was suspended because of signes of the malignant hyperthermia. Early treatments resulted in a good recovery from the complica-tion. The importance of the early diagnosis and treatment was emphasized.
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