明日への展開 ADVANCED TECHNOLOGY
I.診断・検査技術
染色体検査法の最近の進歩
前田 徹
1
,
松信 晶
2
,
大野 道子
3
Tooru Maeda
1
,
Akira Matsunobu
2
,
Michiko Oono
3
1横須賀共済病院産婦人科
2北里大学病院産婦人科
3北里大学病院臨床検査部
pp.238-243
発行日 1984年4月10日
Published Date 1984/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206966
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ヒト胎児由来の培養細胞にコルヒチン処理,低張処理,押しつぶし法などの巧妙な手技を駆使して,正常の体細胞染色体の数が46本であることが明らかにされたのは1956年のことであった。その後の数年間にダウン症候群,ターナー症候群,クラインフェルター症候群などの疾患が染色体数の異常に起因することが次々と証明された。さらに,末梢血液培養による染色体分析の技術が導入されるに至り,広く臨床医学の分野にも普及するようになった。1970年代に入ると,分染法とよばれる新しい技術が開発され,細胞遺伝学の分野に飛躍的な進歩がもたらされた。一方,1966年Steel & Breg1)が羊水細胞の培養による胎児染色体分析に成功してから,最近の超音波診断技術の進歩と相俟ってその安全性も確立され,日常臨床のなかに取り入れられつつある。本稿ではこれら最近の進歩のうちから,分染法と,羊水染色体分析を紹介し,産婦人科の日常臨床との関連について述べることにする。
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