今月の主題 染色体
技術解説
染色体検査法
福嶋 義光
1
,
井上 信男
2
Yoshimitsu FUKUSHIMA
1
,
Nobuo INOUE
2
1神奈川県立こども医療センター遺伝科
2神奈川県立こども医療センター検査科
pp.759-770
発行日 1984年7月15日
Published Date 1984/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912237
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染色体検査は,医療の中で重要な役割を担うようになってきている.先天異常児の診断はもとより,ハイリスク妊婦を対象とした羊水検査や,白血病・悪性腫瘍の染色体検査も広く行われている.染色体検査を行う際には,その意義を十分認識する必要がある.染色体検査は組織培養を用いて行う.一般には末梢血リンパ球を用いるが,皮膚線維芽細胞,羊水細胞,骨髄血を用いることもある.最近,種々の分染法が開発され,染色体分析の精度も向上してきた.従来から行われているG-バンド,Q-バンド,R-バンド,C-バンド,N-バンド,Cd-バンドに加えて,二重分染法が開発され,さらに鮮明な像が得られるようになった.分裂前中期〜前期の染色体を観察する高精度分染法が開発され,微細な染色体構造異常も検出できるようになった.脆弱X染色体検査も可能となり,精神遅滞の原因究明に利用されている.
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