臨床研修セミナー 流産
Overview
原因と疫学
大浜 紘三
1
Koso Ohama
1
1国立呉病院産婦人科
pp.156-160
発行日 1989年2月10日
Published Date 1989/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207947
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流産は産科診療上最もしばしば遭遇する疾患の1つである。妊娠の成立や維持には卵子や精子が健全であることに加え,妊卵を取り囲む子宮内環境や内分泌環境,さらに母体の循環,代謝,免疫機構などが妊娠に応じた特有の変化を示すことが必要であり,逆にこれらの機構に異常が生ずれば妊卵の発育は障害されて流産となる。したがって流産の原因を追求し,これを治療することは,妊娠の成立維持に必要なすべての機構を1つ1つ検討することに他ならない。また流産は異常妊卵が自然淘汰される機序であるとの見方があるが,この立場からすれば流産防止の治療には大きな限界が存在することになり,この点を十分考慮した上で患者に対処する必要がある。
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