グラフ 胎児奇形の映像診断
先天性心奇形
原 賢治
1
,
小柳 孝司
1
,
中野 仁雄
1
Kenji Hara
1
1九州大学医学部婦人科産科学教室
pp.594-595
発行日 1983年9月10日
Published Date 1983/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206855
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電子スキャンによって,胎児心は左右の心房,心室,房室弁といった解剖学的単位まで細かく識別できるようになり,各々の単位について,その形状や位置,動態などを評価することが可能となってきた1〜4)。このような胎児心の形態に関する知見が増大するにつれ,先天性心奇形の出生前診断に成功した報告例も増えてきている5〜8)。しかしながら我が国ではそのような報告は未だ少なく,一般的な認識には至っていないと思われる。そこで今回,筆者らが行っている胎児心の断層像の見方について,自験例をもとに述べることとする。
図1は妊娠32週における正常胎児の心の横断像である。この断層像は心臓の位置,胸廓内で占める大きさ,心室・心房の形状,左右差など胎児心の形態を包括的に評価する際に基本となる像であり,一般に4chamber viewと呼ばれている。この断面で正常と判断されると,次に大血管の位置関係,走行,管径へと観察を進め,異常がみられた場合にはさらに各々の解剖学的単位を詳細に検討してゆく方法をとっている。
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