産婦人科医療--明日への展開 超未熟児保育
未熟児における脳幹機能検査の臨床的応用
松村 忠樹
1
,
山田 あいこ
1
Tadaki Matsumura
1
,
Aiko Yamada
1
1関西医科大学小児科学教室
pp.547-553
発行日 1983年8月10日
Published Date 1983/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206846
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
新生児医療の進歩に伴い,早産児や低出生体重児の生存率は増加しつつあるが,次に問題となるのはintact survivalである。とりわけ新生児期の中枢神経障害による精神運動発達の異常は,小児医療に携わる者にとって重要な問題である。中枢神経系の中でも脳幹部には呼吸循環系の中枢をはじめとして,哺乳に必要な吸啜,嚥下や眼球運動および聴覚など頭部顔面の運動や感覚を支配する脳神経の諸核,さらに意識レベルを調節するといわれる中脳網様体など数多くの重要な組織が存在する。しかも脳幹部はその代謝活動の激しさゆえに,周生期の低酸素状態,虚血状態に対して脆弱な部位でもある。したがって脳幹部の機能状態を正しく把握することは,新生児,とりわけhigh riskの児を管理する上で重要な指標になると思われる。しかし,脳幹部の機能に関する情報は通常の診察や大脳頭皮上からの脳波記録では得難く,特殊な検査法が必要となる。ここでは電気生理学的検査法のうち,聴性脳幹反応(ABR),光眼輪筋反射(MV,PPR)について述べる。
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.