トピックス
LHRH-agonist (作働物質)の長期間投与による卵巣機能の抑制効果
田部井 徹
1
1自衛隊中央病院産婦人科
pp.501
発行日 1983年7月10日
Published Date 1983/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206835
- 有料閲覧
- 文献概要
LHRH-agonist (作働物質)である(D-trp6—Pro6—NET)—LHRH (以下LHRH-aと略す)をラットに長期間投与すると,血中LH分泌は増加するがFSH分泌は減少し,さらに生殖機能が低下する1)。Nilliusら2)およびLamayら3)は,ヒトにおけるLHRH-aのラットと同じような効果を認めた。しかるに,LHRH-aの生体内における作用機序が,下垂体を介しているのか,性腺に対する直接作用による性ホルモン分泌の低下なのかあるいはLH受容体が関与しているのか不明である。
最近,LHRH-aを使用したヒトへの臨床応用が試みられ始めた。Meldrumら4)は,子宮内膜症患者5名にLHRH-a,100μg/日を28日間の長期投与すると,血清LH濃度は上昇するがFSH濃度は逆に低下する傾向を認め,さらに血清estradiol—17βおよびestrone濃度は,去勢婦人のレベルにまで低下したと述べ,したがって,LHRH-aの長期間投与は,卵巣の外科的な去勢と同等な効果を示す可能性が示唆された。
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.