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強姦とは一般に女性の同意を得ないで,暴力や恐怖やペテンにかけて無理やりに性交を試みたり,成就することをいうとされている1)。しかし,この型には年齢や結婚の有無などによりいろいろのものがあり,今日では上記の定義のほかに,このような暴力による性交の結果,心理的や感情的に深い傷害をうけ,このために性に対する不快感を抱くようになることも少なくない2)。したがって,このような強姦被害者に対し,医学的治療のみならず,心理的精神的な管理が重要となって来る。近年わが国でも性の早熟化と青少年の非行化が社会問題となり,強姦についても充分知識をもって対処すべきであるが,わが国の性質上比較的表面に出るものは少なかった.しかし,時代の要請と共に,今後はその対応がせまられるようになると考えられる。
その意味でも,Solola3)らの報告したテネシー大学の強姦危機プログラム(rape crisis prograrn)の1980年1年間に621例の女性の強姦被害者と14名の男性の被害者の成績は興味あるものである。男性を除外して全女性の被害者をみると,年齢は2歳から87歳に及び,15〜19歳が最も多く171名,ついで20〜24歳147名,25〜29歳93名,10〜14歳75名の順であった。これらの51.8%は全くの未婚者であった。35.8%は被害者と加害者は知っている関係であった。474例の被害者(全体の76.3%に相当するが)は1人の男により暴行をうけたが,12%は2人の男に,5.3%は3人の男により,残りの3%は3人以上の男性により強姦をうけていた。加害者の年齢は154名について知られており,14歳から62歳に及んでいるが,最も多いのは25歳以下で全体の57,1%に及ぶが,そのうち20〜24歳の男性が主に占めていた。血縁関係のあった者は8名あり,3名は父親に,1名は兄弟に,4名はいとこにより強姦されたものであった。
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