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喫煙は胎児の異常や自然流産を起こさない?
広井 正彦
1
1山形大学医学部産科婦人科
pp.183
発行日 1983年3月10日
Published Date 1983/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206769
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喫煙の発育している胎児に及ぼす影響について今日まで多くの報告がある。すなわち,喫煙する母親から生まれる子供には喫煙しない母親より生まれる子供と比較して,生下時体重が低い。また,喫煙している母親では自然流産率が高い。さらに,喫煙している母親より生まれる子供には先天異常の出現が多いなど,タバコの児への有害な報告が多い。事実,タバコの中にある種の有害物質が含まれており,これが胎児や胎盤の酵素系への障害を起こし,子宮内の発育遅延や発育異常を来し,さらに流産などを招来するものと考えられる1-4)。しかし,今日まで報告されて来ている者には必ずしも例数などで満足すべきものではなかった。
そこでHcmminkiら5)はフィンランドで1967年から1977年までに出生した児で大奇形をもっていたものを登録したものから分析した。とくに母親の年齢,産科歴,薬剤の服用の有無,疾患の有無およびタバコの喫煙程度などを詳細に調査した。また,自然流産については郵送による面接を行い判定した。これによる回収は9196で対照の90%と大きな差異はなかった。婦人を喫煙の程度により,非喫煙者,タバコを1日10本以内,1日10本以上の3群にわけた。ついでにアルコールをめったにのまない,月数回,週1回,毎日の4群にわけ,コーヒー摂取も1日5杯以内,5〜6杯,6杯以上にわけて検討した。これらを比較危険率を求め,対照と比較して優位である比率で計算した。
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