特集 発達障害×慢性疾患
発達障害への理解を深める
発達精神病理学の起源と展開─ 発達障害とアタッチメントの障害をつなぐもの─
王 百慧
1
,
黒木 俊秀
2
1熊本大学大学院 生命科学研究部附属臨床医学教育研究センター
2九州大学大学院 人間環境学研究院臨床心理学講座
pp.996-999
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023080012
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はじめに
発達精神病理学(developmental psychopathology)とは,青少年におけるさまざまな 精神疾患や問題行動(暴力や非行)の発生や経過,およびその背景を生涯発達(life-span development)の観点から解明することを目的とする学際領域である.従来,発達心理学 や精神医学のみならず,遺伝学,生態学,神経科学,教育学,社会学など,多くの関連分 野との交流を深めながら発展してきた.その歴史は比較的新しく,発達精神病理学の定義 が提言されたのは1984年である.しかしその後の進歩は目覚ましく,今日,精神疾患全 体の理解にもきわめて大きな変革を迫りつつある.ここではその起源である第二次世界大 戦の最中になされた複数の児童精神医学史の重大な発見が,いかに現代の発達精神病理学 に結実しているかを紹介してみたい.
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