臨床医のプライマリケア 産婦人科プライマリケア
産婦人科医としてのプライマリ ケア
林 茂
1
Shigeru Hayashi
1
1川崎市立川崎病院産婦人科
pp.39-41
発行日 1982年1月10日
Published Date 1982/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206548
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プライマリー ケアということばが使われだしてから,すでにかなりの年月が経っている。医学関係者をはじめとして,一般の人々が,時にふれ折にふれ,このことばを口にしている。しかし少し話をしてみると,お互いに「プライマリー ケアの定義,プライマリー ケアとは何か」については,かなりの違いがあることに気づき,とまどいを感ずることも少なくない。
プライマリー ケアを,初期診療と訳して,救急医療と混同している向きもある。家庭医療のことだとすると,日本には昔から開業医という立派なプライマリー ケアがあるではないかという人もいる。大病院が二次・三次医療をやっているのだから,一次医療がプライマリー ケアであるともいわれている。しかし,その内容は,必ずしも明確でなく,現に大病院は二次・三次医療のみをやっているのではなく,実際の診療内容の大部分は一次医療であるのが現状である。農村におけるプライマリー ケアというような題で,地域医療=プライマリー ケアとの考え方も紹介されている。なかには,前線医療,第一線医療という,野戦病院を彷彿させる訳語があったり,あげくの果てには,なんでもできる医者=プライマリー ケア医という誤解まで生じている。
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