Modern Therapy 婦人科劇症の治療
婦人科癌(絨毛癌を除く)の劇症状態とその治療
笠松 達弘
1
,
園田 隆彦
1
,
松本 よ志
1
,
恒松 隆一郎
1
Tatsuhiro Kasamatsu
1
1国立がんセンター病院,婦人科
pp.107-110
発行日 1980年2月10日
Published Date 1980/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206191
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子宮頸癌など婦人科癌(絨毛癌を除く)で,劇症肝炎のごとく極めて早い速度で進展,悪化することはまれである。しかし,このような症例もときには経験する。たとえば子宮頸癌で,小量の性器出血をみて他院を受診し,異常なしと診断されたがその後も出血をみるので来院した症例がすでにⅢ期になっており,治療前検査をしているうちに上部尿路が急速に閉塞し,しかも原発巣が破壊して大出血を起こし,放射線治療を開始する間もなく死亡した症例を経験した。
またある症例では,頸癌手術後の約7年は全く健康であったが,皮膚に小豆大の結節に気づいて来院し,それが頸癌の皮膚転移と判明し,化学療法を開始したばかりでほぼ全身的に転移巣が発生し,たとえば硬口蓋に出現した小さい転移巣が目にみえて増大して短時日のうちに鶏卵大となり,結局,小さな皮膚転移巣に気づいてから約3カ月で全身的な転移で死亡した。
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