特集 悪性腫瘍の治療--最近の焦点
子宮体癌の治療
園田 隆彦
1
,
笠松 達弘
1
Takahiko Sonoda
1
,
Tatsuhiro Kasamatsu
1
1国立がんセンター病院婦人科
pp.199-204
発行日 1972年3月10日
Published Date 1972/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204570
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I.治療法の選択について
子宮体癌の治療法には手術,照射,抗癌剤,ホルモン,その他,およびこれらの併用法がある。個々の症例について最良の治療法は何か,その選択基準は何か,文献的考察を主にして述べてみたい。
治療の目的は良好な予後にあり,多くの予後決定因子を治療とそれ以外の因子群にわけ,その関連を考察すれば治療法選択の基準が得られる。治療以外の予後因子の第1は癌の進行度であるが,その治療前の把握にはやや困難な面がある。たとえば臨床的進行期と病理組織学的進行期に体癌の場合17%の不一致を認めた報告(Javert,1963)17)一致72.5%,過剰診断12%,不足診断16%の成績(増淵他,1967)52)などにみるごとくである。他方,将来はI期体癌の比率が高くなるからI期体癌の治療法を確立すればよい(Copenhaver他,1967)10)との意見ももつともであるが,現状では進行例もあり各進行度に適した治療をすべきであろう。一般に臨床分類はその疾患の予後推定と同時に治療法選択にも役立つべきであり,従来,体癌の進行期分類が多くなされたのは逆にこの点が不十分であつたことを示している。
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