FIGO TOPICS 私が感銘を受けた講演
フリーマーチン現象とX-Y抗原説/体外受精の条件
平野 睦男
1
1東北大学医学部産科学婦人科学
pp.959
発行日 1979年12月10日
Published Date 1979/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206162
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■Comparative aspects of fetal differentiation
FIGO東京大会3日目の10月29日(月),9時から1時間,性管分化の実験で有名なAlfred Jost教授の特別講演"Comparative aspects of fetal differentiation"をきくことができた。Jost教授は1947年から1953年にかけて,子宮内の家兎胎仔を用い,性管系が分化し始める前に去勢して性管系の分化発育にいかなる影響を与えるかを検討し,メス胎仔もオス胎仔も一様にメス型分化を示すところから,性の分化はもともとメス型に向かうもので卵巣はこのメス型分化に必須の器官ではなく,精巣が性管のメス型に向かうことを妨げると同時に,オス型への分化を促進させることを明らかにするなど,この方面で独創的な研究を続けられてきた方である。
Jost教授は哺乳類・鳥類・両棲類の性分化に関する知見をわかりやすく説明され,鳥類は哺乳類とは異なって,もともとオス型分化を示すこと,両棲類にはオス型分化とメス型分化に向かうものがあることなどを解説されたのち,Ohno博士らの1975年以降のH-Y抗原と性分化の関連性についても言及された。H-Y抗原(Y連鎖組織適合性抗原)は哺乳類の性腺原基を精巣に,また鳥類およびメスが異型配偶子をもつ両棲類の性腺原基を卵巣に,それぞれ方向づける決定因子であると考えられてきた。
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