実地臨床手技のエッセンス 症状よりみた検査法の選択
腰痛
腰痛への提言—産婦人科より
尾島 信夫
1
Nobuo Ojima
1
1聖母病院
pp.932-933
発行日 1979年12月10日
Published Date 1979/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206149
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妊婦の腰痛
患者が妊婦である場合には,X線検査は末期を除くほか避けるべきであるし,妊娠に腰痛はつきものと考えられるので,「症状からみた検査法の選択」という命題にさからうようであるが,検査などとあまり騒がないで,お産までできるだけ苦痛少なく耐えさせるということを方針としている。妊婦腰痛の頻度を割合に低くみている報告もあるが,私のところで実際に調べた成績では,妊娠第6ヵ月までは初妊経妊とも第2ヵ月から5,8,12,21,26%と上昇し,第8ヵ月から先は初妊婦の方が余計高くなって46,53,66%の頻度を示す。いずれにしても妊娠末期には程度の差はあれ半数は腰痛を訴えている。
その原因としては,妊娠子宮の自然の収縮が(下腹痛として感じられることが多いが)腰痛として感じられるもの,恥骨結合と同様に仙腸関節の組織が多量のエストロゲン・プロゲステロンの協力作用を受けて1種の妊娠性変化をおこして,軟化肥厚を生じて腰痛をおこすもの,子宮重量の増大から重心の移動を生じ,平衡を保つべく脊柱の前彎状態を続けるために腰背部の筋肉の疲労が原因となるものなどである。
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