実地臨床手技のエッセンス 産婦人科病理組織アトラス
材料採取のコツ—主として材料取扱い方について
瀬戸 輝一
1
,
近江 和夫
2
Terukazu Seto
1
,
Kazuo Omi
2
1帝京大学医学部病理
2国立がんセンター,婦人科
pp.327-333
発行日 1979年5月10日
Published Date 1979/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206032
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本邦において,諸検査設備の中央化が通常となった現今でも,婦人科材料の取扱い,及び病理学的検索は,従来のごとく,各産婦人科施設が独自に行なう傾向が強い。近年各地域にがん専門施設が設けられつつある趨勢から,病理側が積極的に接する機会が生じてきたが,剔出子宮材料の検索方法一つにしても,いまだ確立されておらず,胃癌など比較的接触頻度の高い腫瘍の取扱い方を模倣,修飾し,各施設ごとでかなり異なっているのが現状である。
本来なら「材料採取のコツ」の課題に対しては,臨床側よりの執筆が望ましいにもかかわらず,あえて病理側に依頼された理由の一つとして,胃癌2),食道癌8),大腸癌9),乳癌10),甲状腺癌5)などではすでに取扱い規約が定められ,各施設一定方式で検索がそれぞれ進められているので,子宮頸癌,子宮内膜癌などについても同様の規約設定が望まれ,そのたたき台を提示する意味が含まれるためと考えられる。人体病理専攻者としては,多くの産婦人科臨床医に接する機会に恵まれた期間があったことより,そのささやかな経験をもとに,臨床医より多くの助言を借りつつ,主として病理側より,実際に材料を取扱う臨床側への要望点を,極めて具体的に述べるため,主題より予想される内容とはかなり異なってしまい,材料取扱いの手引きが主眼となったことを先に陳謝する。
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