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BBT一相性でも無排卵とは限らない
広井 正彦
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1山形大学医学部産科婦人科学教室
pp.302
発行日 1977年4月10日
Published Date 1977/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205595
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基礎体温(BBT)は今日では排卵の時期を推定したり,黄体の形成など卵巣の機能を知るうえで,容易で信頼おけるものとして広く用いられてきている方法である。これは排卵後に形成される黄体より分泌されたprogesteroneの体温上昇作用を利用したもので,BBTの曲線が二相性を示した時には排卵があったとし,低温より高温期に移行するときに排卵が起こったと考えられている。従ってBBTが一相性のときには無排卵と考えられている。最近はBBTと血中ホルモン値との相関が注目され,血中に循環しているprogeste—roneの濃度が4〜8ng/mlに達するとBBTが上昇すると考えられるようになってきた。しかし,ホルモンによる体温上昇作用にも個人差があり,本当にBBTが血中のホルモン動態を適格にあらわしているか疑調視されるようになってきた。
Johanssonら1)は正常月経を有する17人の婦人の合計33周期での血中progesterone濃度と尿中estrogen排泄量を測定した。これによると,BBTで一相性の無排卵を12%に認めたが,ホルモン測定では無排卵の例はみられなかった.
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