疾患の病態と治療 難治疾患の対策--婦人科外来から
無月経
平野 睦男
1
Mutsuo Hirano
1
1東北大学医学部産科婦人科学教室
pp.113-118
発行日 1977年2月10日
Published Date 1977/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205560
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Ⅰ.原発無月経(表1)
無月経の診療にあたっては,初潮発来の時期を問診により確認し,もし満18歳を過ぎても月経発来のない原発無月経であれば,腟鏡診,双合診,直腸診,ゾンデ診,BBT測定,さらに性染色体検査などにより,性器閉鎖症,子宮性原発無月経,卵巣性無月経などを鑑別しなければならない。原発無月経で乳房発育が良好であり,腰部の豊満化など女性としての身体発育がよい場合には,きわめてまれな疾患ではあるが,腟閉鎖または腟欠損などの性器閉鎖症(gynatresia)が考えられる。また原発無月経の40%にTurner症候群など性染色体異常が認められるので,とくに背の低い原発無月経の患者に対しては,染色体分析を必ず行なわなければならない。
原発無月経は先天異常に基づくものが大部分であり,治療により正常月経周期をつくったり,さらに妊娠させうることはきわめてまれであるため,今日なおその対策はたてようがないのが実情である。
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