疾患の病態と治療 進行癌への挑戦--延命効果の可能性
進行癌はどこまでなおせるか
手術療法の立場から
泉 陸一
1
,
川名 尚
2
,
菅生 元康
2
,
白水 健士
2
,
柴田 治郎
2
,
川越 厚
2
,
滝沢 憲
2
,
川端 正清
2
,
坂元 正一
2
Rikuichi Izumi
1
,
Takashi Kawana
2
1富山医科薬科大学産科婦人科学教室
2東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.33-40
発行日 1977年1月10日
Published Date 1977/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205547
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従来から,初期癌,早期癌,進行癌というものの定義ははなはだあいまいであり漠然と使われることが多いが,近年のめざましい癌の早期検出法の進歩や,治療法の変革に伴い,これらの概念は明らかに従来とは変わってきているように思われる。たとえば癌検診が進んでいる子宮頸癌では,もはやstage Iaをこえたものは進行癌とすべき段階にきている。
現在,癌に対する治療法のうち,根治的といえるのは一般的には手術療法と放射線療法とであるが,いずれも局所療法にすぎないし,限局された範囲内に癌がとどまっている場合でも治療によって重要臓器や脈管,神経などへの致命的な副障害をあたえてはならない制約がある。これらの限界をこえてひろがった癌や,予後からみて高い治癒率を期待できない段階にまで進展したものを,本論文ではかりに進行癌と規定して,それに対する手術療法について,われわれの考え方を紹介し,諸先輩の御意見,御批判をお願いすることにしたい。
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