境界領域の再評価とその展開 特集
産婦人科と泌尿器
婦人科手術時の泌尿器系偶発事故と対応—産婦人科の立場から
川端 正清
1
,
泉 陸一
1
Masakiyo Kawabata
1
,
Rikuichi Izumi
1
1富山医科薬科大学産科婦人科学教室
pp.593-596
発行日 1987年9月10日
Published Date 1987/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207651
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尿管・膀胱は女性内性器と解剖学的に密接な関係にあり,婦人科手術時に尿路系を損傷しないよう常々留意することが必要である。特に,下腹部巨大腫瘤・頸部筋腫・子宮内膜症・既往下腹部手術例などでは尿管が偏位していることが多く,またそのような例でなくとも個人差があることを念頭に入れておかなければならない。一力,Symmonds1)は尿管損傷は"容易な"腹式子宮全摘に発生することが多く,上述した尿路系事故が多いと思われる症例に必ずしも多いとは限らないと述べており,術者側の心構え・術式の工夫に問題があるといえよう。Keettel2)は膀胱・腟,尿道・腟瘻177例中,131例(74.0%)が婦人科手術によるものであり,その77.1%は腹式子宮全摘によると報告している。不幸にして,尿管・膀胱を損傷してしまったときは,できるだけ速やかに正しく対応しなければならない。
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