今月の臨床 母子感染—最新の管理指針を考える
最近の動向と新たな問題点
1.産婦人科の立場から
川名 尚
1
1帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科
pp.1266-1270
発行日 2000年11月10日
Published Date 2000/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904174
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本邦では,年間約120万の新しい生命が誕生するが,そのうちで母子感染よって問題が生じるのは約1,000程度ではないかと考えている.この数は出生数全体からみたら多いとは言えないかも知れないが,もし10年間この数字が続くと約1万人の障害児が出生することになり医学的にも社会的にも重要なことになってくる.
母子感染の影響は,広いスペクトラムをもっている.流早死産という形で胎児を失うことから先天感染による奇形,先天感染児,新生児・乳児の感染症,そして成人において例えばB型肝炎ウイルスの母子感染よる肝硬変・肝癌の発症までと幅が広い.さらに今までに判っていない母子感染の影響まで考えると母子感染は誠に重要な医学上の課題と言ってよい.
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