疾患の病態と治療 母体環境と胎児・新生児
母体のトキソプラスマと胎児・新生児
大内 広子
1
,
野上 敬子
1
,
松峯 壽美
1
Hiroko Ouchi
1
1東京女子医科大学産科婦人科学教室
pp.703-706
発行日 1976年9月10日
Published Date 1976/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205469
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トキソプラスマ(以下Tpと略す)は,人畜共通の寄生虫で,古くから二つの発育型,すなわち栄養型とシスト型が知られていたが,近年Hutchi—sonなどの研究によってTpの最終宿主が猫とわかり,猫の糞から排泄される成熟オーシストからの感染による場合が主であることがわかった。
妊娠時にTp症の合併をみるときには流早産,死産,また先天性異常児の出生をみることがあるので産科領域において深い関心をもたれている。妊婦がTp症を併発すると,時に胎内感染がおこり,Tpは胎児の中枢神経系,細網内皮系細胞に親和性をもち,脳水腫,網脈絡膜炎,運動障害,その他の奇形の発生がおこることがある。
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