トピックス
経口投与可能なLH-RH類似物質の出現
広井 正彦
1
1山形大学産科婦人科
pp.298
発行日 1976年4月10日
Published Date 1976/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205405
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産婦人科領域においてなじみの深い排卵や月経周期などの性機能を調節する因子として,古くより間脳視床下部が注目されてきた。すでに種種の実験や臨床的観察より,視床下部よりある種の化学物質が下垂体門脈をへて下垂体前葉に作用し,ここよりgonadotropinの分泌を調節していることが明らかにされてきている。したがつて1960年代には多くの研究者がこの物質の同定に研究を進めてきたが,1971年Schallyグループら1,2)によりブタの視床下部50万個より約1mgの物質を抽出し,ついにこのものの構造決定と合成に成功した。近年,わが国でも斉藤3)らをはじめとして多くの機関で検討され,学門的興味ばかりでなく,診断や治療にも重要な役割を果たしてきている。
しかし,従来用いられてきたこの合成LH-RH (luteinizing hormone—releasing hormone)は静脈内投与か皮下または筋肉内投与が主で,経口的に投与するにはラットの実験のごとく大量投与しなければならない欠点がある。
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