疾患の病態と治療 産婦人科疾患の免疫学的アプローチ
流産と免疫
八神 喜昭
1
Yoshiaki Yagami
1
1名古屋市立大学医学部産婦人科学教室
pp.295-298
発行日 1976年4月10日
Published Date 1976/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205404
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妊娠の成立および維持を免疫学的見地よりみた場合,それに関与すると考えられる免疫機構の破綻は,妊娠維持の中絶をも意味するとも考えられるわけであり,この見地より,流産現象をとらえることもあながち不可能なことではないように思われる。
しかしながら父親由来の抗原性をもつ胎児およびその付属物が母親にとつてnot selfなものであるとしたならばなぜに免疫的拒絶を受けないで発育していくのか,という問題に対しても未だ明確な答は得られておらず,胎児の抗原性の問題,hostとしての母体の免疫機構の特殊性の問題などについて,多くのアプローチが続けられている現況であり,流産現象を免疫学的にのみ明確に説明し得ることは困難である。
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