今月の主題 糖尿病診療の現況
発症機序
自己免疫
平田 幸正
1
Yukimasa HIRATA
1
1東京女子医科大学・糖尿病センター
pp.16-17
発行日 1981年1月10日
Published Date 1981/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216984
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糖尿病者に臓器特異性の自己免疫疾患あるいは特異性自己抗体を伴う頻度が高いことは,欧米において古くから注目を惹いていたようである.糖尿病が膵島に対する自己免疫によって起こるのではないかという考え方は,若年発症糖尿病の発症初期に認められるinsulitisの所見によって強く支持されていたといえる.このinsulitisの所見は,古くからウイルス感染か自己免疫のいずれかで説明されると考えられたものである.しかし,いずれにしても自己免疫が糖尿病の原因となりうるという直接的な証明法はきわめて困難であった.
ところが1974年に至り,Bottazzoら1)により,膵島細胞抗体(islet cell antibody, ICA)がはじめて証明されたことにより,膵島に対する自己免疫の成立を,糖尿病とくにタイプI糖尿病(インスリン依存性糖尿病)の1つの原因として考えうる直接的な手がかりが与えられた.その後,さっそくICAを中心に各種の研究がすすみ,今日に至っている.
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