疾患の病態と治療 妊婦管理
妊娠と心疾患・貧血
古谷 博
1
,
奥山 輝明
1
Hiroshi Furuya
1
,
Teruaki Okuyama
1
1順天堂大学産婦人科学教室
pp.199-201
発行日 1976年3月10日
Published Date 1976/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205383
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.心疾患
最近妊婦の心疾患に対する内科医,産科医の関心が高まつてきたが,それは心臓の生理病理についての知見が非常に多くなり,かつ一方では心臓外科の発達進歩により,心疾患をもつ妊産婦の管理,治療が従来より非常に進んで,かなりの症例でその効果をみるようになつてきたからである。したがつて心疾患のための人工妊娠中絶も次第に減少し,妊娠・分娩による母児の危険性も以前よりはるかに少なくなつてきた。
妊娠・分娩は生理的現象であつて,血液の性状,心機能,呼吸機能などにかなりの順応性変化があるが,これは心疾患のある妊産婦にとつては,程度の差はあるが,血行力学的,呼吸機能的負担になるものであり,また心疾患の種類や重症度によつては,その予備能力の限界を確かめることが必要になつてくる。またある種の心疾患では,児にも同じような異常が発生する可能性もあるし,未熟児出生の率も多くなりうる。
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.