特集 産婦人科
今日の焦点・Ⅰ
妊婦の貧血—今日の焦点と血液学的アプローチ
古谷 博
1
,
平出 公仁
1
,
高木 秀雄
1
,
二階堂 贊
1
,
渡辺 泰猛
1
Hiroshi Furuya
1
1東京大学医学部付属病院分院産婦人科
pp.941-946
発行日 1969年11月10日
Published Date 1969/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204117
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
妊産婦の貧血に関する研究は,近年盛んに行なわれ注目すべきものがあるが,わが国におけるその血液学的研究レベルは必ずしも欧米におけるそれに匹敵するとはいえない。その一つの理由は実験方法がRIの胎児に対する悪影響を顧慮して自ずと制約があるためであろうし12),また従来,いわゆる水血症による生理的偽貧血の概念が長く信じられていたために,この方面の研究を遅らせる原因となつていたのであろう。わが国では,その特有の食生活から一般に鉄欠乏性貧血が多いとされている11)。そして妊産婦貧血もその例外ではなく,妊婦の貧血についての新しい研究は,まず近代的概念による妊婦の鉄代謝の解明からなされ,それは諸外国においてもまず鉄吸収の研究から開始されている。
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.