疾患の病態と治療 妊婦管理
妊娠が母体に及ぼす影響
皮膚
肥田野 信
1
,
荻原 洋子
1
Akira Hidano
1
,
Yoko Ogihara
1
1東京女子医科大学皮膚科学教室
pp.197-198
発行日 1976年3月10日
Published Date 1976/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205382
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Ⅰ.色素沈着
妊娠時には全身皮膚にも軽度の色素増強が認められるが,特定の部位に著明である。例えば乳暈,腋窩,新しい手術瘢痕で著しく,linea albaに着色してlinea nigraとなる。外陰部の着色も非常に強くなり,特に小陰唇の辺縁に著明で,腟前庭から会陰,肛門周囲に拡大する。
雀卵斑や色素性母斑,黒子などの色調も増加し,新しい出現も見られる。肝斑は妊娠の70%に見られるいわば生理的現象である。その臨床像は非妊婦におけるものと同じく,眉毛の上,下限瞼,上口唇,頬などに対称性に生ずる淡褐〜褐色斑で,眼の周囲では眼の方に向かう側の境界に鮮明である。
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