年間テーマ--診断から治療へ 術後の機能異常
術後の心身症
長谷川 直義
1
Naoyoshi Hasegawa
1
1秋田人学医学部産婦人科学教室
pp.823-827
発行日 1975年11月10日
Published Date 1975/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205251
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婦人科外来を訪れる種々の身体症状を訴える患者のうちに,実はその身体症状が各種の手術後に発生したものである場合がある。しかも,患者が訴える身体的愁訴は内診や諸検査によつても,それを説明するに足る器質的所見もないために,多くは「手術はうまくいつており,なんらの異常もない」と簡単に説明されて済まされたり,あるいは対症療法が行なわれたりする。しかるに,このような扱い方ではまつたく効果がないばかりか,患者は一段と執拗な愁訴を繰り返し,ついに医師も困り果てて「ノイローゼである」,「気のせいである」,「自分で病気をつくつている」などとつい一喝し,そうすることによつて,自らの不明をカバーしている医師すらときにはみうけられる。このような患者の身体症状のうちには実は,手術をめぐる心理的問題が主たる原因となつて発生している場合,すなわち心身症である場合が少なくない。
そこで,筆者は手術後に発生する心身症の実態を示し,本症をめぐる2,3の臨床上の問題について述べることにする。
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