Japanese
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薬剤の臨床
自律神経(失調)症に対するエストリオール錠の使用経験
Experience with estriol tablet for vegetative neurosis
長谷川 直義
1
,
樋口 安彦
1
Naoyoshi Hasegawa
1
1東北大学医学部産婦人科学教室
pp.361-364
発行日 1961年4月10日
Published Date 1961/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202413
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Ⅰ.はしがき
自律神経(失調)症並びに自律神経性婦人疾患の治療1)2)にはoestrogen療法のみでなく,0.5%塩酸プロカイン緩徐静注療法,androgen,oestrogen+androgen (混合hormone),oestro—gen+androgen+progesterone (tristeroidhormone)等のhormone療法のほか臍帯埋没療法,更に最近ではtranquilizer療法3)4)5)(chlor—promazine,plégicil,reserpine,meprobamate),精神賦活剤catron療法6)等があり,いずれも相当の良効果がみとめられている。これ等数多い臨床知見からも,最近漸く,本症の主因が卵巣機能の衰退或いは下垂体の性腺刺激hormone分泌能の異常ではなくて,間脳自律中枢の失調にある…ということが最も端的に首肯されるに至つた。然しながら,これ等の多種に亙る薬物が本症に対し100%の奏効率を挙げているわけではない。本症の中にはこれ等の薬物療法のうち1方法だけを相当長期間使用したにも拘らず,尚難治なものがあることは日常の臨床で屡々経験するところである。治療に移るに先立ち,各症例につき,どの薬物が最も効果があるかを決定し得ない今日,筆者らは1剤5日間前後の治療を施し,これでなお効果なき時は他の薬剤に切換えて行くという治療方式(少量短期間回転法)をとり効果を挙げている。
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