産婦人科における精神身体医学・3
婦人の心身症
長谷川 直義
1
1東北大学医学部産婦人科学
pp.52-56
発行日 1964年1月1日
Published Date 1964/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202686
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.精神身体医学の臨床
精神身体医学は身体疾患に悩む患者の感情的な問題をもとりあげて,心身両面からする合理的な診断・治療をおこなう医学である.前章,2回にわたって女性の情緒的な問題を,主として産婦人科との関連性においてのべてきた.そこで触れたように,患者のパーソナリティーの形成とその特徴を患者の幼時から現在にいたる生活環境との関連において理解し,もしそこに情動の乱れを生ずるような要因が発見されたばあいは,それを調整して,身体症状におよぼす悪い影響をとりのぞくことである.そのためには,一つ一つの症例が綿密に検討されなければならないわけである.とくに,心理面での調整が必要であるような症例,すなわちとくに精神身体医学の対象という意味での疾患が心身症(=精神身体症,略してPSDという)と呼ばれているものである.われわれは心身症をわかりやすく「精神葛藤などの情動障害が主因となって,身体的な異常をきたした疾患である」と定義している.
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.