Japanese
English
精神身体医学(第1回臨床大会シンポジュウム)
婦人心身症の臨床
Clinic of female vegetative neurosis
九嶋 勝司
1
,
長谷川 直義
1
Katsuji Kushima
1
1東北大学医学部産婦人科教室
pp.707-711
発行日 1965年9月10日
Published Date 1965/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203328
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
近年,臨床医学において精神身体医学的な診療の必要性が,この領域のパイオニヤたちによつて強調され,各方面で精神身体医学(以下,PSMと略す)が再認識されつつあることははなはだよろこばしい限りである。
心身一如である病める人間を対象とする臨床医学が,究極において精神身体医学でなければならないことには,異論があるまい。しかし,では実際の臨床において,どのようにその理論を応用したらよいのか,ということになると,なお不明確な点が多いようである。少なくとも心身症(Psy—chosomatic disease,精神身体症,以下,PSDと略す)というような疾患は,従来の医学をもつてしては治療効果のあがらぬ点で注目されてきた。PSDはPSMによってクローズアップされ,PSM的な立場に立つての診療によって,はじめて治癒せしめることができるという点で,まずPSMの研究対象となつた疾患である。婦人のPSDは産婦人科臨床医にとつては,日常,しばしば遭遇する疾患でありながら,その実体がとらえられなかつたばかりに適確な治療もなされず,医師も患者も困惑していたものである。今日,PSDに対する考え方も混乱がないとはいえず,また診断・治療のすすめ方も,あるいは精神分析,あるいは催眠療法などと専門医によつてのみ,はじめて可能なような方法が述べられている。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.