年間テーマ--診断から治療へ 術後の機能異常
尿路系の機能異常—子宮頸癌根治手術を中心として
藤原 敏郎
1
Toshio Fujiwara
1
1天理よろづ相談所病院
pp.811-816
発行日 1975年11月10日
Published Date 1975/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205248
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産婦人科的手術と尿路系の関係は局所解剖的にも当然密接であり,往時よりたびたび論ぜられてきた。しかしその内容は産婦人科学の推移とともに変遷を示し,以前は鉗子分娩や帝切,C.P.D.による膀胱障害やparacystitisなどが問題であつたが,現在ではそれらはきわめて稀れで,むしろD.I.C.による腎不全などが目立つのみである。したがつて,ここでは婦人科的手術を中心に述べる。一般に婦人科的手術と尿路系の問題は外妊,附属器腫瘍,広靱帯内に発育する腫瘍,大きな頸部筋腫,エンドメトリオージスなどのとき不測の事故としてこれを損傷することである。しかしこれは十分注意することにより未然に防止できることで,またその損傷の処理は比較的簡単であり結果もよい。
しかし子宮頸癌根治手術(以下子宮癌手術とする)の場合はその操作の複雑さはもとより,その操作を加える靱帯,血管,神経と尿路系の機能とはきわめて密接であり,現在の方法では術後これらの器官に機能障害をもたらすのは当然である。しかもその治療は困難を極める。このように子宮癌手術は婦人科的手術の中でも特殊であり,それに関連しておこる種々の副次的なことも複雑なことが多い。
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