原著
広汎性子宮全摘術における骨盤神経の生体染色について
植田 国昭
1
,
松田 昭夫
1
,
貝原 学
1
,
安井 洋
1
Kuniaki Ueda
1
1長野赤十字病院産婦人科
pp.161-163
発行日 1974年2月10日
Published Date 1974/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205003
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
子宮頸癌の根治手術においては,術式の広汎性のために必然的に膀胱麻痺が起こり,これは生命を救う代償として不可避的なものと考えられていた。小林隆は術式のこの矛盾に対して積極的な解決法を試み,骨盤神経の温存法を発表し,この方法が5年治癒成績に影響しないことを報告した1〜4)。その後さらに神経根幹部のみでなく,骨盤神経が直腸側に達した後,旁腟結合織を通つて膀胱壁に分布する経路を追求して,この末梢部分も分離保存する方法が発表されている3〜10)。(小林,坂元,松沢)
著者らは骨盤神経の保存のためには,これを術中に染色すれば一層明確になるものと考えていたが,たまたま文献により外科では胃切除の際に,迷走神経をleuco—methylene blue (以下LMB)で染色すれば,これを容易に確認できることを知り11),1972年7月より広汎全摘に応用することを試みた。広汎全摘で神経の染色に応用したのは,許と小玉12)の報告があるが臨床成績は示されていない。1973年著者らと五十嵐は各々別個に,この染色法の臨床成績を同一学会で発表した15)。
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.