特集 産婦人科プリンシプル
産科編
陣痛発来機序について
鈴村 正勝
1
,
三井 武
1
Masakatsu Suzumura
1
,
Takeshi Mitsui
1
1日本医科大学産科産婦人科学教室
pp.751-756
発行日 1973年9月10日
Published Date 1973/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204877
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妊娠の持続期間は動物の種類によつてほぼ一定しており,その期間を経過すると陣痛が発来して分娩が開始する。哺乳類では動物の大きさと比例しているようで,ヒトでは最終月経初日から起算した場合,小畑1〜3)によると281.07±15.08日,梅沢4)279.1±13.7日,鈴村,青木5)で279.5±0.3日大体280日前後に分娩が開始することは周知のとおりである。しかし陣痛発来機序については古来から産科学の重要な研究対象となつているにもかかわらず,いまだに不明の点が多い。2500年以上も前に医聖Hippocratesは胎児は饑餓のために子宮底に足をつけて子宮口をひろげながら生れると考えたが,現在でも別の形で胎児の饑餓が問題になつている(Reynolds6))。Dixon,Marshall7)(1924)は内分泌の考えを導入し,妊娠末期になると黄体が萎縮して正常の内分泌機構となり,卵巣の作用が回復して脳下垂体を刺激し,ために子宮の被刺激性を高めて分娩開始に重大な役割を演ずるとしている。
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